2025年7月参議院選挙の外国人の受け入れに関する制度・政策についてのアンケート調査について

参議院選挙にあたり、外国人の受け入れに関する制度・政策について、各政党のご見解をうかがいたく、アンケートを実施いたしました。
8政党の岡山県本部(自由民主党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党、参政党、社民党)を対象にアンケートを実施した結果、6政党の皆様からご回答をいただきました。

趣旨

国立社会保障・人口問題研究所が2023年12月に公表した「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、外国人の純移入(転入-転出)は年間7万人と想定されています。しかし現実には、出入国在留管理庁の発表によると、2023年末時点の在留外国人数は過去最多の約341万人に達し、年間の増加数は約20万人を超えています。これは政府推計を大きく上回るペースで外国人の受け入れが進んでいることを示しています。こうした変化は、地域社会、労働市場、教育・福祉制度などにさまざまな影響を及ぼしており、受け入れに関する制度設計や将来像の再検討が求められています。

アンケート項目は以下の6項目です。

  1. 日本はもっと積極的に外国人を受け入れるべきだとお考えですか。
  2. 外国人の出入国管理、滞在管理、国際的な人材誘致、社会統合支援などを一元的に担う「移民庁」の設置が必要であるとお考えですか。
  3. 外国人が現行よりもさらに権利を尊重され安心して日本で生活できるような制度や環境を整備する必要があるとお考えですか。
  4. 地域における外国人との共生に向けた政策(教育、日本語、住宅、福祉など)で、特に強化すべきとお考えの分野は何ですか。
  5. 社会保障制度(医療・介護・年金等)との関係で、外国人の加入や受給についてどのようにお考えですか。
  6. その他、貴党として重視されている外国人政策があればご記入ください。

各党の意見は次のように分かれました。回答はそのまま公開させていただきます。※回答到着順

1.日本はもっと積極的に外国人を受け入れるべきだとお考えですか。

そう思うどちらかと言えば
そう思う
どちらかと言えば
そう思わない
そう思わないその他回答見送り
社会民主党立憲民主党
自由民主党
公明党
日本維新の会共産党

社会民主党
どのくらいの外国人を受け入れるべきか検討する前に、外国人および外国人労働者の受け入れ制限そのものに社民党は反対です。“安価で使い捨て可能な労働力”として外国人を扱う政策ではなく、地域で共に生活し、共に働く共生社会、インクルーシブな社会の実現に向けてこれからも取り組んでいきます。
公明党
我が国では、深刻な少子高齢化・人口減少が進む中で、高い専門性や技術を持つ高度外国人材や、労働力不足が深刻な介護や製造業、建設業などの分野を中心に、経済社会のニーズを踏まえた一定の範囲において、外国人労働者の受入れを行っていくことは不可欠であり、そのための体制をしっかり整える必要があると考えます。

2.外国人の出入国管理、滞在管理、国際的な人材誘致、社会統合支援などを一元的に担う「移民庁」の設置が必要であるとお考えですか。

そう思うどちらかと言えば
そう思う
どちらかと言えば
そう思わない
そう思わないその他回答見送り
日本維新の会自由民主党
社会民主党
共産党
立憲民主党
公明党

3.外国人が現行よりもさらに権利を尊重され安心して日本で生活できるような制度や環境を整備する必要があるとお考えですか。

そう思うどちらかと言えば
そう思う
どちらかと言えば
そう思わない
そう思わないその他回答見送り
共産党
立憲民主党
社会民主党
日本維新の会
公明党
自由民主党

自由民主党
近年、外国人労働者や訪日観光客の急増に伴い、出入国・在留管理の徹底、一部外国人による迷惑行為や犯罪、社会保障制度の不適切な利用等が社会的課題として顕在化しています。このような状況を踏まえ、まずは日本のルールを守ってもらうことを前提に、在るべき共生の形を検討していくことが重要だと考えます。
日本維新の会
歴史的にも、積極的に受け入れるのはむずかしいと思う。

4.地域における外国人との共生に向けた政策(教育、日本語、住宅、福祉など)で、特に強化すべきとお考えの分野は何ですか。

共産党
・生活全般に係る相談を一元的に受け入れるワンストップセンターの整備
・地域での円滑な日常生活をおくるために、夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実
・外国人児童の学校教育、外国人学校の支援
・妊娠、出産に対する不利益取り扱いを根絶し、子どもと共に暮らし、育児をしながら働き続けることができる制度
立憲民主党
立憲民主党は22年、多文化共生社会実現のための基本法を議員立法として国会提出しました。 国や自治体は、①国籍または社会的・文化的背景が異なることを理由とする差別の禁止、②差別 に関する相談および紛争防止等のための体制の整備、③教育・啓発、交流促進等による国民と 在留外国人の関心と理解の増進、④日本語等の習得機会の確保、住宅の確保支援、情報提供 等による生活の円滑化、⑤学齢期の者の就学等の未成年の在留外国人に対する教育の機会の確保、などの施策を強力に推進すべきと考えます。
自由民主党
・日本語教育支援(自治体・学校・企業での拡充)
・外国人児童・生徒への教育支援体制
・多言語による行政サービス案内や相談窓口の整備
・地域住民との交流促進
・防災情報の共有
社会民主党
社民党は、医療・教育・福祉・労働などの分野において以下のような共生のための制度整備を求めています。
・地域日本語教育の推進・医療アクセスの確保・子どもの教育権の保障(不就学児の解消)・母語支援や通訳体制の充実など
公明党
地域で外国人と共生するには、日本語教育の充実、行政・生活情報の多言語化に加え、ごみの出し方や交通ルール、日本の習慣といった社会生活上のマナーやルールの丁寧な教育機会を充実させることが重要です。

5.社会保障制度(医療・介護・年金等)との関係で、外国人の加入や受給についてどのようにお考えですか。

共産党
・認めるべきだと思います。
・国保に占める外国人の割合は約4%、医療費全体のうち外国人の医療費は1.39%であり、外国人も医療制度の支え手になっています。
・厚労省の年金水準予想(財政検証)では、外国人の入国超過が年間16.4万人の規模で続く場合、2057年時点の所得代替率は50.4%であり、一方、外国人流入が少なくなれば62年には47.7%にまで下がると試算されています。将来、外国人が減れば日本人の年金受給額が減少するという試算です。
立憲民主党
外国人労働者が国内で安心して働き、生活できる環境を確保するため、就労環境の整備と合わせて、外国人労働者およびその家族についても、社会保障制度の担い手としての位置付けを明確にし、制度への参加を確保すべきです。
自由民主党
日本の制度を持続可能に保つ観点から、在留資格や就労状況に応じた公平なルールが必要です。納付実績に基づく適正な受給、公平な保険料負担など、国民とのバランスを考慮し、国民の納得を得られる制度運用を行うべきと考えます。
社会民主党
在留外国人だからという理由であらゆる行政サービス(社会保障・医療・教育など)を受けられる権利が制限されたり、ましてや排除されるべきではありません。税金をおさめている以上、当然の権利です。特段の事情がある場合には考慮されて然るべきと考えます。
公明党
外国人労働者にとって、社会保障制度への加入は、日本社会の一員としての責任であるとともに、生活する上でのセーフティーネットでもあります。そのため、外国人が制度を理解出来るよう分かりやすい情報提供が不可欠です。
一方で、外国人の社会保険料等の未納や滞納を防止するため、未納情報を在留審査に反映させるシステムの導入をはじめ更なる対策を進めていきたいと考えます。

6.その他、貴党として重視されている外国人政策があればご記入ください。

共産党
・外国人の人権を保障するため、入管法の抜本改正を 
・難民問題について、積極的な役割を果たすこと 
・永住外国人に地方参政権を付与すること
立憲民主党
2016 年に成立した「ヘイトスピーチ解消法」における取り組みを拡大し、国際人権基準に基づいて、人種・民族・出身などを理由とする差別的言動を禁止する法律の制定など、あらゆる差別撤廃に向けた動きを加速させます。
自由民主党
・「ルールを守らない外国人には厳格に対応」、「制度の悪用は許さない」、「土地取引の透明性の確保」を三本柱とする制度改革を進め、「違法外国人ゼロ」を実現
・「特定技能制度」の適正な運用と支援機関の強化
・技能実習制度の見直しと人権保護の強化
・外国人材の日本語能力や職業能力の向上支援
・外国人との共生に関する地方自治体支援の充実
社会民主党
社民党は「包括的差別禁止法」の早期の制定を求めています。この法律は、性別・人権・民族・障がい・性的指向などによるあらゆる差別、あらゆる形態の差別を禁止し、被害者の救済を目的とする法律です。この中には、外国人差別やヘイトスピーチに対して罰則を含む法的規制を強化するものがあります。こうした法制定とあわせてあらゆる差別を許さない社会的意識の醸成、普及啓発に国、自治体、政治家、地域コミュニティーらが積極的に取り組む必要があります。
公明党
我が国が「世界から選ばれる国」となるために、「安全・安心」を確保し外国人と安心して暮らせる「多文化共生社会」の構築が重要だと考えます。
公明党は、「ルールを守る共生社会」を旨とし、いわゆる「外免切替」制度の厳格化、投機的あるいは不透明な不動産取引の規制強化の検討など、実態を踏まえた政策を推進します。

当アンケートに参加いただいた政党の皆様は外国人の受け入れについては肯定的な意見が主でした。外国人の受け入れについては議論が始まったばかりであり、肯定的意見、否定的意見の両方が必要であると考えています。その点から考えると、否定的な意見をもつと考えられる政党から回答がなかったことは残念でした。当アンケートに参加いただいた政党は、概ね、日本国内に居住する外国人の権利の保障や、生活全般の支援が不十分という認識であり、制度の整備や支援が必要という意見でした。選挙直前の大変忙しい中、当アンケートにご協力いただきました政党の皆様には重ねてお礼を申し上げます。