「外食産業についての勉強会」開催報告

2025年6月10日(火)、「移民問題に対する業界団体のイニシアティブとその可能性:外食産業のケースから」というテーマで勉強会を開催しました。講師に、一般社団法人大阪外食産業協会(ORA)・外国人雇用促進部門会筆頭業務委員の鍋島祥郎氏を迎え、財団・研究所、また一般の方、全員で16名の方の参加がありました。

概要は以下のとおりです。


日本では外国人留学生が外食産業に多く従事しており、その背景には日本語学校の増加や「留学生30万人計画」などの政策があります。しかし、在留資格の制約や制度の不備により、優秀な外国人を継続的に雇用することが難しい状況が続いています。
このような問題を解決するため、大阪外食産業協会を中心に「特定技能制度」の導入が進められてきました。この制度により、一定の試験を通過した外国人は外食業界で働けるようになり、徐々に採用の幅が広がっています。また、制度創設に際しては関係省庁や政治家との交渉が行われ、民間団体の声が制度設計に反映されたことが紹介されました。
外食産業は人手不足の中でも成長産業と見なされており、外国人労働者の力に大きく依存している実態が示されました。一方で、在留資格制度が「ジョブ型雇用」と呼ばれる欧米型の考え方に基づいているため、日本独特の「メンバーシップ型雇用」との間に齟齬が生じていることも課題とされました。外国人の学歴や職歴が日本側の基準と合致しないと在留資格が出ず、企業側も採用に苦慮しているという実情があります。さらに、制度をめぐる利権構造や悪質なブローカーの存在、不当な手数料の問題など、制度の運用面における不透明さも指摘されており、フェアな雇用の実現を目指すグローバル認証制度の導入や、現地と直接つながる仕組み作りの必要性が語られました。
また、勉強会の終盤では、外国人労働者の権利保護に向けたユニオン(労働組合)の役割や、日本語教育、母語教育の重要性など、多面的な視点からの意見交換が行われました。参加者たちは、制度の継続的な改善と、現場の声を反映させた柔軟な対応の必要性を共有し、今後も議論を重ねていくことの重要性を再認識しました。


次回の勉強会は来年1月を予定しております。詳細が決定しましたらまたお知らせいたしますので、楽しみにお待ちください。