2025年12月16日「見えてきた「希望」と「課題」」開催報告

日時:2025年12月16日(火)13:30~16:00
場所:岡山コンベンションセンター ママカリフォーラム 407会議室
(YouTube配信も行いました)
プログラム、調査報告につきましては、以下のとおりです。

プログラム
司会 吉田 舞 氏(北九州市立大学 法学部 政策科学科 教授)

報告①選ばれた日本:アジア諸国からの来日者の期待と来日後の現実
―ベトナム、ネパール、インドネシア、およびミャンマー人来日者を中心とした比較研究―
ソシエタス総合研究所 研究員
ワオデ ハニファー イスティコマー 氏
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報告②希望から現実へ:日本におけるミャンマー人労働者の移住意向と経験を理解するソシエタス総合研究所 研究員
ミー モー トゥーザー 氏
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報告③ネパール人来日希望者における日本の在留資格選択に影響する要因分析ソシエタス総合研究所 研究員
カルキ シャム クマル 氏
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報告④インドネシア人材の建設分野における期待と現実 来日前後の認識ギャップと改善の方向性ソシエタス総合研究所 研究員
アンディ ホリック ラムダニ 氏
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報告⑤「新たな移住先」としての日本:2019年の特定技能制度の導入とインドネシア人移住労働者の実態ソシエタス総合研究所 研究員
ワオデ ハニファー イスティコマー 氏
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講演見えてきた「希望」と「課題」外国籍労働者支援の現場から福山ユニオンたんぽぽ 執行委員長
武藤 貢 氏
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討論外国人労働者受け入れと育成就労制度に向けた課題 
「私たちに何ができるのか」

6つの報告・講演から、移住の背景や来日前の希望と来日後の現実、制度と実態のずれが明らかになりました。受け入れ側の視点で考えるべき共通点は以下の3点であると考えます。

  1. 多くの人が安定を求めて日本を選ぶ一方、来日後はキャリア形成の見通しの弱さ、言語の壁、分野によっては暴力やハラスメントなど深刻な問題に直面している。
  2. 制度そのものだけでなく、運用や現場の在り方が重要であり、当事者が声を上げにくく、支援を求められる場が限られている点が今後も大きな課題である。
  3. 外国人労働者を受け身の存在と捉えず、家族状況や将来設計を踏まえて主体的に選択している存在として理解し、その主体性を前提とした段階的な受け入れが必要である。

その点を踏まえ、3つの論点から討論を行いました。

論点1:異文化理解と人権意識
受け入れ側が制度を大まかにでも理解し、外国人一人ひとりに関心を持つことが重要である。しかし、来日理由や考え方など基礎的な情報を理解している事業主や周囲の人は少ない。個々の背景を丁寧に聞き取ることを通じて、受け入れ側自身が人権意識を高め、本人の尊厳を認める姿勢が求められる。

論点2:労働環境の問題
特定技能制度は本来人材育成を目的としているが、インドネシアでは人手不足解消の労働力として扱われがちで、学んだ技能を帰国後に活かせていない。ネパールでは留学生として来日する人が多い一方、日本語能力不足などによりアルバイトに就けないケースが多い。来日前の日本語教育の充実や、地方での受け入れ、留学生が働きやすい環境整備が必要である。

論点3:受け入れ支援の在り方
日本語能力や年齢層も多様な中で、将来のキャリアアップの道が見えないことが不安につながっている。個別に支援する支援者の存在は重要だが、個人やNPOに依存するには限界がある。制度設計や人権基盤の整備を含め、政府が責任を持ってキャリア形成支援を行う必要がある。

また、今回の報告会では、多岐にわたる質問をいただきました。一部について回答しておりますので、ぜひご覧ください。 ⇒ Q&A


日本で働く外国人は出身国ごとに背景や制度が異なりますが、多くが将来のキャリアや人生設計を求めて来日しています。職場だけでなく地域での居場所や関係性の有無が、日本での経験を一時的な労働に終わらせるか、人生の一部として積み重ねられるかを左右するのではないでしょうか。2027年の育成就労制度導入を見据え、今後の在り方を考えていく必要があるのではないかと感じた報告会でした。