日本における移民女性の妊娠差別

日本で妊娠差別が問題となっている中、技能実習制度の一時的で搾取的な性質は、移民女性の権利意識の向上やその効果を発揮する上での障害を悪化させている。この研究は、実習生が職を失うことを恐れて妊娠を隠さなければならず、ときには一人で流産や死産の経験を抱え込んでいるという現状を踏まえて行われている。状況はさまざまであり、岡山での予備インタビュー調査の結果によると、さまざまな関係者が実習生に権利に関する知識(中絶に関してや産休の権利など)をあえて教えていない現状がある。また、実習生が権利について知っていても、差別が原因で(あるいは差別を恐れて)権利の行使が妨げられていることもある。
実習生が権利を行使する・できるかどうかは、雇用主が労働基準法などの規定を遵守する意思があるかどうかなどの要因に左右され、実習生の救済や彼らを取り巻く現状の改善には、実習生らが自身の持つ権利 について認知していることがまず必要である。本研究の目的は、岡山において、女性の実習生たちを取り巻く現状における移民としての地位とジェンダーの交差性に着目し、彼女たちがどのように権利意識と向き合うか理解することである。並行して、技能実習制度に関する知識として、実習生がどのようなことを経験するかを認識し、理解を深めることを目的としている。

研究者:秋吉湖音