インドネシアにおける日本への人材派遣の費用構造ー技能実習・特定技能を中心にー
要旨
インドネシアから日本への人材派遣は、従来の技能実習制度を中心に展開されてきたが、2019年に特定技能制度が導入されたことで、新たな送り出し経路が加わった。本報告では、両制度に焦点を当て、インドネシアにおける送り出し費用構造を分析する。
技能実習制度では、費用規定の不在や非公開の慣行により、候補者が高額な費用を負担する傾向が強まっている。特定技能制度は、制度設計上、費用の抑制が可能とされるが、実際には情報の非対称性や仲介機関依存の構造が続いており、技能実習と同様に高額化・不透明化が進行している。さらに、日本側との不均衡な関係や求人提供の不履行なども、費用増加の一因となっている。今後、費用の透明化と公平性を確保するためには、制度運用の見直し、日本側の監督体制強化、情報提供の整備、日本語教育への戦略的支援が不可欠である。
当調査は、2023年から2024年にかけてインドネシア現地にて、送り出し機関、日本語教育機関を中心に約60機関へのインタビューを通じて得られた知見に基づく。
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研究員:Waode Hanifah Istiqomah