サービス付き高齢者向け住宅入居者満足度調査

日本の高齢者(65歳以上)の90%以上は、要介護状態であっても85%は在宅で生活している。在宅以外の場合は、特別養護老人ホーム等の介護提供がある施設、サービス付き高齢者向け住宅(以下、「サ高住」)などの高齢者向けの賃貸住宅等で生活している。サ高住とは、高齢者(60歳以上の高齢者、または要介護者認定を受けた60歳未満の方)が安心して快適に暮らせる「住まい」の提供を目的とした、賃貸住宅である。安否確認や生活相談などのサービスが義務付けられており、必要に応じて食事提供、生活支援などのサービスを受けることができる。また、希望や介護度に合わせて、外部から介護サービスを選ぶことも可能である。

第6回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」国土交通省 2022/02/22
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001464799.pdf
サ高住は2011年の制度開始以降、2023年8月、日本全国に約8200棟、約28万戸、整備されている。


一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会より、2023年春、サ高住入居者を対象とし、主に、「自由な生活の確保」、「プライバシーの尊重」、「自己決定の尊重」、「安心・安全な生活の確保」について、サ高住での生活の現状とその満足度についての調査委託を受けた。
調査結果概要は以下の通りである。
1.入居満足度について71.2%(2048名,N=2873)が「大変満足」「満足」と回答。
2.入居の継続について61.4%(1765名,N=2873)が「終の住処としたい」と回答。
3.「自由な生活」、「プライバシーの確保」、「自己決定の尊重」、「安心・安全の確保」について尋ねている各項目についても平均約80%が「大変満足」「満足」と回答。
 2017年にも同様の調査が実施されていたため、2017年、2023年の結果を比較したが、コロナ禍にも関わらず、2023年では入居満足度は上昇した結果であった。ただ、自由記述ではコロナ禍で人との交流の機会が大きく制限されていたことについて、生活を楽しむことについての諦め感や不満の記述が散見、また、生活上で困難があり相談しても解決されないといった記述も見られていた。安心・安全な住宅として満足度は高いが、人や社会とのつながりには課題があることが示唆された結果であった。

サービス付き高齢者向け住宅に関するアンケート調査概要
実施年2023年(参考)2017年
目的サ高住運営事業者をはじめとするサービス提供者の質の向上に役立てること
調査対象44都道府県・484住宅に入居している高齢者36都道府県・サービス付き高齢者向け住宅協会会員の
237住宅に入居している高齢者
調査方法郵送配布、郵送回収
配布19,949件10,000件
有効回答2,873件(192住宅)2,402件(113住宅)
回答率14.4%24.0%
調査期間2023年2月1日~3月31日2017年3月1日~3月31日


*「サービス付き高齢者向け住宅に関するアンケート調査」結果のご報告
https://kosenchin.jp/kosenchinDefault/2_2023_07_07/20231101-2.pdf