初任期教員のメンタルヘルス維持に関する諸要因の検討

近年、精神疾患による教師の休職や退職の増加が問題になっているが、教員の年齢構成は若年者の割合が上昇し、それに伴って精神疾患による休職者における20代の割合も増加してきている。大学における限られた経験では生徒や保護者の種々の要請や課題への対応に習熟することは困難で、「リアリティ・ショック」と呼ばれる現実とのギャップを感じることも多く、多忙な教員間の支援が希薄化していることも背景にある。

ところで、従来のメンタルヘルス研究では、精神的不調の統制すなわちネガティブな側面に着目したものが多く、職務への意欲といったいわばポジティブな側面に着目したものは少なかった。

そこで本研究では、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であるワーク・エンゲイジメントを用いて多くの教員が精神的な不調に陥ることなく勤務していることにも目を向けるとともに、初任教員におけるリアリティ・ショックや感情労働などの要因が彼らのワーク・エンゲイジメントにどのような影響を与えているのか、さらには臨床心理学的支援による効果を検討した。

担当研究者 岡山大学学術研究院社会文化科学学域 東條光彦
研究期間 2019年4月1日~2022年3月31日