遺贈寄付や生前贈与等での限界集落等での家や山林、農地などの土地建物の個から共へ所有移転による計画的過疎に関する事例及び課題点に関する研究
本研究は、岡山県内の限界集落における空き家や耕作放棄地の増加、及びそれに伴う所有権の不明確化や地域衰退の進行という深刻な課題を受け、これらの資源を「コモンズ」として再活用するための「地域資源をまとめる基金」設立の必要性と可能性を検証したものである。県内外の先進事例へのインタビューでは、地域運営組織やNPOが土地・建物を集約し活用することの意義と実務の課題(費用、人手、法的整理等)が明らかとなり、多様な法人格や参加者のオーナーシップの維持方法についても考察した。さらに、岡山県内在住者を対象に実施したアンケート調査(有効回答数131件)からは、空き家・農地の管理負担や相続への不安が突出しており、とりわけ50・60代で経済的負担や相続手続きへの支援ニーズが高いことが判明した。過半数が専門家の伴走支援や透明性の高い基金設立を期待し、寄付や遺贈による資源のコモンズ化にも関心を示した。これらの調査・実践と分析を通じて、行政や個人だけでは解決困難な課題に対し、公益財団法人等による基金設立は地域資源の持続可能な活用とコミュニティ再生に不可欠であり、その成立には相談体制や専門家ネットワーク、透明性ある運営が重要であることが示唆された。
研究担当者:特定非営利活動法人岡山NPOセンター 代表理事 高平亮
研究期間:2024年4月1日~2025年3月31日
研究についてのお問い合わせ先:npokayama@gmail.com
ホームページ:https://www.npokayama.org/